試験の解説

高度情報処理技術者試験の試験内容がわからないという方のために、7つ合格した私が各試験についてコメント

情報処理技術者試験を20回以上受験し、高度試験7つに合格したはずけいです。

高度情報処理技術者試験を受験しようとしたときに、それがどのような試験かわからずに困ったことはないでしょうか。

IPAには試験の対象者や試験の内容について紹介したページがあります。(リンクはこちら

漏れなく正確に書かれているのですが、正確であるが故にわかりにくい部分もあります。

過去のわたしは試験の内容が掴みきれないまま受験して、「この試験ってこういうものだったんだ」と分かったものがいくつもありました。

この記事では、わたしが各試験を受験して感じたことを生の意見として記載しました。

実際とずれている部分や、他の受験生の方と感じ方が違う部分があるかもしれません。

一個人の意見として受け取っていただければと思います。

また、各試験について一番簡単かつ正確に理解するのであれば、IPAの試験紹介ページに記載されている短い紹介文が一番良いです。

各試験ごとに、IPAの試験紹介文言も引用して記載しましたので、ぜひ参考にしてください。

それでは一つづつ見ていきましょう。

ITストラテジスト試験(ST)

IPAの試験紹介

経営とITを結びつける戦略家

経営戦略に基づいてIT戦略を策定し、ITを高度に活用した事業革新、業務改革、及び競争優位を獲得する製品・サービスの創出を企画・推進して、ビジネスを成功に導くCIOやCTO、ITコンサルタントを目指す方に最適です。

出典:IPA公式の「ITストラテジスト試験」紹介ページ

私のコメント

試験を受ける前は経営層あるいは経営の方針を決める参謀のような役割をイメージしていましたが、受験した結果もっと身近な資格だと感じました。

一番イメージが近かったのは、Webサイトを運営する客先に常駐していたとき、一緒に仕事をした企画部の方です。

新しいサイトを立ち上げるときや、既存のサイトの機能追加を行う際に要件を考える立場の方でした。

練習で論文を書く際も、当時関わった案件を思い出し、企画の方になりきって書くことが多かったです。

ITストラテジストは、高度情報処理の中では一番文系寄りの資格だと思います。

午前を突破する力があれば、開発の経験がなくても合格は可能です。

逆に、システム開発の目的、ねらいといった観点が必要になるので、要件定義に全く関わったことがない場合は論文のネタがなくて困るかもしれません。

午前2ではマーケティング、経営戦略、財務等の知識が必要とされますが、そのような分野に興味のあるわたしは楽しく勉強できました。

システムアーキテクト試験(SA)

IPAの試験紹介

業務とITのグランドデザイナー

システム開発の上流工程を主導する立場で、豊富な業務知識に基づいて的確な分析を行い、業務ニーズに適した情報システムのグランドデザインを設計し完成に導く、上級エンジニアを目指す方に最適です

出典:IPA公式の「システムアーキテクト試験」紹介ページ

私のコメント

この資格は、開発の現場レベルのシステム設計者に関する資格です。

役割としては開発のプロジェクトリーダーが一番しっくりきます

当時のわたしは、プロジェクトリーダーとしてお客さんの要件を聞いて、それを具体的にどうやって実現するかを考え、チームメンバーに作業を割り振っていました。

受験してみて、今の自分にぴったりな資格だと感じました。

知識としてはデータベース、ネットワーク、セキュリティに関するものがあると有利です。(広く浅くのイメージ)

システムの設計をやったことがなくても開発にたずさわり、仕組みを理解している方であれば十分合格可能です。

午後2の論文ネタのために小規模でも良いのでシステムの開発経験が欲しいです。

論文はネタさえあれば、出題にクセがなく書きやすいので論述式試験を初めて受験される方にもおすすめです。

プロジェクトマネージャ(PM)

IPAの試験紹介

ITプロジェクトの成功請負人 

プロジェクト全体の意思決定を実行し、品質・コスト・納期に全責任をもち、前提・制約の中でプロジェクトを確実に成功に導き、プロジェクトメンバを成長させるマネージャを目指す方に最適です。

出典:IPA公式の「プロジェクトマネージャ試験」紹介ページ

私のコメント

「プロジェクトマネージャ」という実際の役割があり、名前通りの資格なのでイメージしやすいかと思います。

システムの設計に関してもある程度の知識が必要なのに加え、コスト面の管理やプロジェクト全体を俯瞰して見るための知識や考え方が必要です。

わたしはシステムアーキテクト試験の上位互換の資格だと感じました。

午後2の論文ではプロジェクトマネージャの視点で論文を書く必要があります。

わたしはプロジェクトマネージャの経験はなかったのですが、プロジェクトマネージャの仕事を近くで見ていたので、その人の仕事や考え方を参考に論文を書くことができました。

現在、プロジェクトマネージャとして活躍している方はもちろん、リーダーをやっていてこれからステップアップを考えている方にもおすすめの資格です。

プロジェクトマネージャは高度試験の中でも最高峰かつ花形というイメージがあります。

私もいつかは取りたいと思っていた憧れの資格でした。

他の試験と比べて難易度がすごく高いというわけではないので、取得満足度を考えるとコスパの良い資格だと思います。

午前2対策ではPMBOKの学習が必須になります。

わたしは下記の本で全体像と基本だけ抑えて、あとは過去問をやりながら出題された部分を中心に覚える学習をしました。


図解即戦力 PMBOK第6版の知識と手法がこれ1冊でしっかりわかる教科書

ネットワークスペシャリスト試験(NW)

IPAの試験紹介

ネットワーク社会を担う花形エンジニア

ネットワークの固有技術からサービス動向まで幅広く精通し、目的に適合した大規模かつ堅牢なネットワークシステムを構築し運用できるネットワークエンジニアやインフラ系エンジニアを目指す方に最適です。

出典:IPA公式の「ネットワークスペシャリスト試験」紹介ページ

私のコメント

その名の通りネットワーク分野に特化した試験です。

ネットワーク関連の業務をやっている方ににおすすめの資格です。

ネットワークに関して体系的に学べるので、知識が深まり業務の役に立ちます。

自分の実力を証明する意味でもおすすめです。

一方でネットワーク関連の業務経験がない場合は合格するのはかなりハードルが高いです。

午前問題、午後1問題は机上の勉強で何とかなりますが、午後2は実際の案件レベルのネットワークがそのまま問題になってきます。

部分的にわかるのではなく、全体的なつながりやデータの流れがイメージできないと合格点を取るのは難しいです。

わたしはネットワークの経験が無く合格できましたが、この試験だけはまぐれ合格だったなと思います。

もう一度受けろと言われても受けたくない試験No1です。

データベーススペシャリスト試験(DB)

IPAの試験紹介

ビッグデータ時代に求められる、データ志向の担い手

企業活動を支える膨大なデータ群を管理し、パフォーマンスの高いデータベースシステムを構築して、顧客のビジネスに活用できるデータ分析基盤を提供するデータベース管理者やインフラ系エンジニアを目指す方に最適です。

出典:IPA公式の「データベーススペシャリスト試験」紹介ページ

私のコメント

データベース分野に関する試験です。

データベースの管理者はもちろん、システム開発者としてデータベースを利用する側の人にもおすすめの資格です。

午後2は難易度が非常に高いです。

難易度が高い理由はとにかく時間が足りないからです。

非常に長い問題文は一冊の本のようで、しかもその本の内容から関係スキーマ、概念データモデルを完成させる必要があります。

わたしは、この試験を7回受けましたが、毎回頭を酷使しすぎて、試験後は毎回、頭から湯気が出るような感覚でした。

わたしは出たーべーススペシャリスト試験の午後2試験は「問2」を選択すると決めて受験していたので、上記感想も「問2」に関するものになります。

わたしの会社では最初に受験する高度試験としてデータベーススペシャリスト試験を選択する方が多いです。

また、データベーススペシャリスト試験は業務で一番役に立っていると感じる資格でもあります。

データベースの設計書をみただだけでシステムの姿が想像できますし、逆にシステムの使用からデータ構造が予想できるようになります。

合格するのは大変ですが、苦労して取得する価値のある資格です

エンベデッドスペシャリスト試験(ES)

IPAの試験紹介

IoT時代に欠かせない組込みシステムの腕利きエンジニア

スマート家電、自動運転などあらゆるモノがつながるIoTが進展する中で、ハードウェアとソフトウェアを適切に組み合わせて組込みシステムを構築し、求められる機能・性能・品質・セキュリティなどを実現する組込みエンジニアやIoT系エンジニアを目指す方に最適です。

出典:IPA公式の「エンベデッドスペシャリスト試験」紹介ページ

私のコメント

組み込み系システムエンジニアのための資格です。

回路、CPU/メモリ、入出力装置、リアルタイムOSと多くのことを理解しなければなりません。

暗記するだけではなく、出題範囲の内容について仕組みを理解する必要があるので準備にはかなり時間が必要です。

さらに、午後2試験は2023年度から論述式試験に変更されました。

組み込み系の仕事をしたことがない方にとって、この論文を書くのは至難の業となります。

ちゃんと勉強すれば組み込み系未経験でも午後1までは問題ありません。午後2の論文ネタをなんとか捻出しましょう。

ITサービスマネージャ試験(SM)

IPAの試験紹介

ITサービスの安定提供を約束する仕事人

顧客ニーズを踏まえ、日々の継続的改善を通じて安全性と信頼性の高いITサービスを提供し、IT投資効果を最大化できるITサービスマネージャを目指す方に最適です。

出典:IPA公式の「ITサービスマネージャ試験」紹介ページ

私のコメント

ITサービスに関連する資格です。

ITIL(ITサービスマネジメントにおける成功事例をまとめたもの)に関してご存知の方は、「ITILで定義されている範囲と同じ」と考えていただくと一番ズレがないです。

実際の現場だと運用業務、トラブル対応やシステム改修、サービスデスク(システムに関する問い合わせ窓口)あたりが該当してきます。

試験名に「マネージャ」と名前がついていますが、管理者のみならずITサービスに関する業務を行うすべての方にお勧めできる資格です。

午後1問題は癖がなく解きやすいですが、問われるレベルは高いので、実力が求められる試験です。

午後2の論文はシンプルな設問が多く書きやすいですが「プロセスの改善」について聞かれることが多いので、改善内容を考え論理的に説明する力が必要です。

わたしはシステムの保守、運用の業務経験が長く、サービスデスク業務もやったことがあったので論文のネタにはほとんど困りませんでした。

午前2問題では、「ITIL」と「JIS Q 20000」に関して聞かれる問題が多いので学習は必須です。

ITILの入門書としては、下記がとてもわかりやすくお勧めです。


ITIL はじめの一歩 スッキリわかるITILの基本と業務改善のしくみ

システム監査技術者試験(AU)

IPAの試験紹介

独立した立場でITを監査する御意見番

情報システムにまつわるリスクを分析し、コントロールを点検・評価・検証することによって、組織体の目標達成に寄与し、利害関係者に対する説明責任を果たす監査人や情報システム責任者などを目指す方に最適です。

出典:IPA公式の「システム監査技術者試験」紹介ページ

私のコメント

システム監査をする人のための資格です。

高度情報処理の最高峰の一つと言えるかと思いますが、あまり人気がないのか受験者数は少なめです。

同じ会場で受験した方はみなさん落ち着き払っていて、試験慣れしている猛者達だと感じました。

システム監査の仕事をされている方以外でシステム監査技術者試験を受験される方は、他の高度試験も複数持っているのではないでしょうか。

試験内容は他の試験に比べてクセが強く、午前2、午後1、午後2でそれぞれに特徴があります。

午前2問題では「システム管理基準」「システム監査基準」といった経済産業省が作成した文章からの出題があるので学習しておく必要があります。

午後1問題について難易度は平均的ですが、回答する際に40文字程度の長文で回答させる問題が非常に多いです。

指定文字数で回答をまとめる練習をしておかないと、時間が足りなくなってしまいます。

午後2の論文の難易度が非常に高いことが一番大きな特徴です。(わたしは「論文系最強」と呼んでいます。)

他の試験に比べ、論文の構成を考えるのに非常に苦労します。

本来、システム監査の論文は「リスク」「コントロール」「監査手続き」の3ステップでわかりやすい構成になります。

しかし、論文を問題文の指示通り書こうとすると、話があっちこっちに飛んでしまい論文の構成が作りづらいです。

その構成も使い回しがしづらく、毎回1から作成する必要があり、時間がかかります。

あまり話題のないところで文字数を引き伸ばすテクニックも必要になってきます。

システム監査の仕事をしている方はもちろん、プロジェクトやシステム担当など監査を受ける側の方にもお勧めできる試験です。

監査をする側の知識や考え方が身につくので普段の業務にも活かせると思います。

情報処理安全確保支援士試験(SC)

IPAの試験紹介

ITの安全・安心を支えるセキュリティの番人

サイバーセキュリティリスクを分析・評価し、組織の事業、サービス及び情報システムの安全を確保するセキュリティエンジニアや、技術・管理の両面から有効な対策を助言・提案して経営層を支援するセキュリティコンサルタントを目指す方に最適です。

出典:IPA公式の「情報処理安全確保支援士試験」紹介ページ

私のコメント

システムのセキュリティに関する試験です。

明確には情報処理技術者試験ではなく、情報処理安全確保支援士という士業試験の分類となります。

試験内容は他の高度試験と同様ですが、異なる点が2つあります。

1つ目は、春と秋の2回受験が可能なことです。(他の高度試験は春、秋のいずれかでしか受験できません。)

2点目は、試験合格後に登録手続きを行うことで情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の資格保有者となることができます。

情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の資格を維持するには毎年1回のオンライン講習と3年に1回の集合研修を受ける必要があります。

オンライン講習は1回2万円、集合研修は1回8万円なので資格を維持するには、3年ごとに14万円のコストがかかります。

試験の内容はセキュリティについて網羅的に学ぶことができるのでシステムエンジニアすべての方にお勧めです。

実際に実務の役に立つ内容ですし、他の高度試験全てでセキュリティの知識は必須となります。

難易度は、他のスペシャリスト系試験に比べると一段落ちるというのが私の個人的な感想です。

わたしは制度改訂前の「セキュリティスペシャリスト試験」の時に取得しました。

情報処理安全確保支援士の登録は行っていません。

登録するメリットの割に、資格維持の手間とコストがかかりすぎると感じたからです。

高度試験はそれぞれの役割が網羅されている

システムエンジニアとして働きながら、ほとんどの高度試験に触れたことでわかったことがあります。

それは、高度試験はシステムに関わる人の役割が網羅されているということです。

役割と各試験を図にしてみました。(わたしのイメージなのでご参考までに)

最初はわかりにくいと感じた試験の種類も、スッキリと腑に落ちて、「きちんと網羅されていてすごい」と感動しました

最後に

高度情報処理技術者試験の各試験についてわたしが感じたことを記載しましたがいかがだったでしょうか。

これからどの試験を受けようか悩んでいる方の少しでも助けになれば嬉しいです。

以上です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。